ガスインジェクションでヒケ対策(4)
成形条件を決める際に最初に問題になるのがヒケではないだろうか。製品の裏側にはボスやリブなどの構造体がある場合が多く、その表側は樹脂の収縮差によってヒケが発生しやすい。一般の射出成形であれば、金型内で冷却固化するまで保圧を十分にかけてヒケを防止する。しかし、圧力をかけすぎると変形したり、バリが発生したりするためヒケを完全に消すことは割と難しい場合がある。ガスインジェクション成形ではボスやリブの根本に窒素ガスを導き、製品の内部からヒケを抑えるので平滑な表面を得ることができる。ここで面白いのが、窒素ガスはヒケやすいところに勝手に入っていくということである。複雑なものになると、窒素ガスを導くために少しノウハウが必要になる。また、注入する窒素ガスの圧力は10MPa程度であり、一般の射出成形の保圧(50~80Mpa)より圧倒的に低圧のため、変形やバリは発生しづらい。